3Dプリンターの印刷設定(Curaの基本設定とプロファイル設定)
こんにちは、タラです。
今回は3Dプリンターの印刷設定について紹介したいと思います。ここではスライサーソフト(印刷用ソフト)としてUltimaker Curaを使っています。
まずCuraをダウンロードしインストールします。
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Curaを立ち上げたら、まずは日本語モードにしましょう。
・ウィンドウ上部の「Preferences」から「Configure Cura」を選択します。
・一番上にLanguage:「English」とあるので「日本語」を選択します。
・右下の「閉める」を選択すると設定が保存されます。
・設定ウィンドウを閉じたら、Cura自体を一度閉じましょう。
・再度Curaを立ち上げると日本語モードで起動します。
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Curaを再度立ち上げたら各種設定を変更します。
・ウィンドウ上部の「プレファレンス」から「Curaを構成する」を選択します。
・「一般」内の最下部に「プライバシー」の項目があります。気になる方はチェックを外しておきましょう。
・「設定」内の最上部の「Check All」にチェックを入れます。ここでは印刷設定において各種項目を表示するかどうかを管理しています。初期設定ではビギナー向けにほとんどの項目が非表示となっています。
・「プリンター」では使用するプリンターの機種を選択します。「追加」からお使いの機種を選択します。
・右下の「閉める」を選択すると設定が保存されます。
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次に、印刷プロファイルのカスタム設定を行います。
・ウィンドウ内、右のウィンドウでプロファイル設定(印刷設定)を行います。プロファイルは名前をつけて保存できます。用途に応じてプロファイルを切り替えたり、設定の微調整時にも役立ちます。
・印刷設定ウィンドウの「カスタム」を選択し、詳細設定モードに切り替えます。初期状態では「プロファイル」に0.1~0.3㎜の3つがあります。これらをベースに設定値を変更し新たなプロファイルとして保存します。
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以下に各項目のおすすめ変更設定を紹介していきます。
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品質
・レイヤー高さ
一層一層の厚さです。設定上は数値を変えることができてもハード(プリンター)が対応しているとは限らないので初期設定の範囲内がいいでしょう。
・ライン幅
機種選択に基づいて0.4mm等の基準値が入力されています。実寸を計測して0.39mmや0.41mmなどに変更することも可能ですが慣れるまでは基準値でいいかもしれません。
・初期レイヤーのライン幅
最初に印刷される層でのライン幅です。プレートへの接着性を高めるために初期設定では140%となっています。ベッドレベリング等の微調整に慣れてきたら100%に変更してもいいかもしれません。
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外郭
印刷物の表面(およびその近傍)のことで、上面底面側面がこれに含まれます。設定された厚さに含まれる領域が外郭(ウォール、壁)に分類され、基本的には強固で丁寧な印刷処理が行われます。側面については「ライン幅×ウォールライン数=壁の厚さ」、上面底面については「レイヤー高さ×レイヤー数=壁の厚さ」の関係がそれぞれ成り立ちます。
・上層底層パターン
ジグザグがおすすめです。
・底層初期レイヤー
こちらもジグザグでいいでしょう。
・壁印刷順序の最適化
チェックを入れましょう。各層の印刷経路が効率的になります。
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インフィル
印刷物内部のうち外郭に含まれない領域のことで、基本的には外郭によって密封されることになります。印刷物に特段の強度を求めない限り、ある程度の隙間を作ることでフィラメント量を節約し印刷時間を短縮することができます。
・インフィル密度
後述のインフィルパターンにもよりますが20%程度あれば印刷上の問題はないでしょう。下位項目のインフィルライン距離が隙間の距離(密度とパターンから自動で算出される)になるのですが、インフィルの上に上面外郭が積層されるため隙間が大きすぎると上面外郭の印刷に影響が出てしまいます。
・インフィルパターン
この項目は好みが出ると思いますが、タラはジグザグを主に使います。ジグザグの良さは、隙間の距離に部分的な差が出にくく上面外郭への影響を考慮しやすいことと、ライン方向が一層ごとに直交するため安定した強度を得られることです。
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マテリアル
・印刷温度
フィラメント素材を選択するとデフォルト値が自動で入力されます。素材の選択はプロファイルウィンドウではなく、Curaウィンドウ上部の「準備する」に切り替えるとそのすぐ下に素材が表示され、これをクリックするとメーカー選択と素材選択が展開します。タラは「汎用」の中から素材を選択しています。
温度に関してはプリンターの設置状況など印刷環境にも左右されるため一概に適正値を提示することは難しいのですが、例えばタラの場合はPLAで印刷温度200℃(ノズル部分)、ビルドプレート温度60℃という設定にしています。
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スピード
項目中に印刷速度と移動速度という用語が出てきます。どちらもノズルの動作速度を指しているのですが、印刷速度はフィラメントを押し出しながら(印刷中)のノズル速度、移動速度は印刷以外でノズルを移動させる際の速度です。ノズルの動作速度を上げれば印刷時間は短縮されますが、一方で印刷精度を下げないように設定したいのがこの項目です。
・印刷速度
精度に影響するので初期設定(60mm/s)のままでいいと思います。
・移動速度
こちらは少しくらいあげても精度に影響しにくいので100mm/sにします。
・初期レイヤー速度
プレートへの接着を高めるために初期レイヤー(第一層)に限定して速度を落とすことがありますが、接着性に問題が感じられなければ初期設定のままでいいと思います。
初期レイヤー印刷中に、カーブの部分でラインがプレートから剥がれてしまったり、ヘアピンカーブでラインがノズルに引っ張られてしまうような場合には速度を落としてみましょう。
タラの場合は、上述の初期レイヤーライン幅を下げており初期レイヤーの接着に不安があるため、ここの速度を20mm/s(場合によっては15)に落としています。
・スカート/ブリム速度
先述の初期レイヤー速度を下げる必要がない場合には変更しなくて問題ありません。スカート/ブリムとは初期レイヤーに追加される接着用の補助部分のことです。
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サポート
サポートとは高架状の部分を印刷するための足場のことです。
・サポートオーバーハング角度
積層型の3Dプリンターは直下の層に次の層を塗り付けていくため、直下の層で印刷のなかった領域には基本的に次の層を印刷することができません。そのためそのような領域にはサポート(足場)が印刷されます。
その一方で、直下の印刷からほんの少しだけはみ出すように次の層を印刷することで、ある程度の角度までの反り返り部分ならサポートなしで印刷することができます。この反り返りの限界角度をサポートオーバーハング角度として指定できるのです。
またここでは、底面に垂直ないわゆる「壁」が0度、底面に水平ないわゆる「天井」が90度として角度表記されています。ですので、「垂直な壁に対して○○度の反り返りまではサポートは必要ない」というイメージで数値を設定します。
反り返り30度程度ならサポートの必要はありません。45度くらいまではほぼ問題ないでしょう。そこから先は、速度や温度など他項目の設定や、印刷環境にも左右されるため必要な印刷精度と相談しながら設定します。ただし、小さな横穴などはサポート材の取り外しが困難になってしまうため、あえてサポートなし(設定値90)とすることもあります。小さな領域であればフィラメントの張力で何とか踏ん張ってくれる場合もあるということですね。
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ビルドプレート密着性
・ビルドプレート接着タイプ
印刷物のプレートへの接着を補助するサポートの種類を選びます。スカート、ブリム、ラフトの3種類があります。
・スカート
補助なしとほぼ同意ですが、本体の印刷前に印刷領域周辺を数周しフィラメントの押し出しを安定させているようです。補助が必要ない場合にはこれを選択します。
・ブリム
初期レイヤー限定で印刷物外壁の外側に大きなはみ出しが付加され接地面積を拡大できます。大きさはブリム幅(外壁からのはみ出し距離)で指定します。
・ラフト
ブリムとは異なり、印刷領域にまず土台がプリントされ、その上に印刷物がプリントされて行きます。
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各項目の設定については以上になります。
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プロファイルの保存
・「プロファイル」のプルダウンから「今の…プロファイルを作成する」を選択
これはいわゆる「名前を付けて保存」に相当します。現在選択中のプロファイルから何の変更もない場合は選択できません。1項目でも変更がある場合には選択中のプロファイル名に★マークが表示されます。
・プロファイル名を入力すると新たなプロファイルとして保存されます。
これでプルダウンに自作プロファイルが追加されました。ちなみに、自作プロファイルの名前に素材名、レイヤー高さ、標準印刷温度を含めておくとプロファイル切り替えに便利です。例えば「PLA 0.3mm 200C」など。
・使用中のプロファイルに設定変更を上書き保存したい場合
「プロファイル」のプルダウンから「現在の…プロファイルをアップデートする」を選択します。
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プロファイル名の変更
・「プロファイル」プルダウン最下段の「プロファイルを管理する」を選択
・「名を変える」を選択しプロファイル名を変更する。
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今回は以上になります。次回はベッドレベリングについて解説したいと思います。